1,000万円で終の棲家は買えるか:総額の内訳で考える
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このページの結論
1,000万円は「物件価格」ではなく「総額の上限」として考えるのが安全です。諸費用とリフォーム費を先に差し引くと、物件に使えるお金はそれより少なくなります。
さらに、買った後も固定資産税・火災保険・修繕費が毎年かかります。買えるかどうかは、この毎年の固定費まで含めて判断します。
総額の考え方
買うときに必要なお金は、次の3つの合計です。
総額 = 物件価格 + 諸費用 + リフォーム費
そのうえで、住み続けるあいだは毎年次のお金がかかります。
毎年の固定費 = 固定資産税(+都市計画税)+ 火災保険 + 修繕の積み立て
予算から逆算するときは、先に諸費用とリフォーム費の枠を取り、残りを物件価格の上限にすると、買った後にお金が足りなくなる事態を避けやすくなります。
諸費用の内訳
中古の戸建てを個人が買う場合の主な諸費用です。税率や上限は、確認日時点の制度です。
| 費用 | 金額・税率の目安 | 注意点 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 上限は、税抜価格のうち200万円以下の部分に5%、200万円超400万円以下の部分に4%、400万円超の部分に3%(別途消費税)(出典:国土交通省) | 800万円以下の物件は、特例で上限が税込33万円まで認められます(出典:国土交通省)。安い物件ほど価格に対する割合は大きくなります。 |
| 印紙税(売買契約書) | 契約金額500万円超1,000万円以下は5千円(2027年3月31日までの軽減後)(出典:国税庁) | 契約書に貼る収入印紙の代金です。 |
| 登録免許税(名義変更の登記) | 土地は1.5%(2029年3月31日まで)。建物は2%、自分が住む住宅で要件を満たせば0.3%(2027年3月31日までの取得)(出典:国税庁) | 住宅の軽減には床面積50㎡以上などの要件があります。税額は物件ごとの価格で決まるため、司法書士の見積もりで確かめます。 |
| 不動産取得税 | 住宅と土地は3%(2027年3月31日まで。本来は4%)(出典:総務省) | 宅地は課税のもとになる価格が2分の1になります。中古住宅は、新築された時期に応じて最高1,200万円が差し引かれます(出典:国土交通省)。築年数の古い安い住宅では、差し引いた結果、建物分がかからないこともあります。 |
| 司法書士への報酬 | 見積もりで確認 | 事務所によって違います。公的な目安は見つけられなかったため、金額は載せていません。 |
| 火災保険(地震保険) | 見積もりで確認 | 建物の構造・地域・補償内容で大きく変わります。 |
リフォーム費で見るべきところ
安い中古住宅や空き家ほど、買った後の改修費がかかりがちです。金額は家ごとに大きく違うため、このサイトでは相場の数字を載せていません。購入前に、少なくとも次の4点を確認し、見積もりを取ってください。
- 耐震:昭和56年(1981年)6月より前に建てられた木造住宅は、耐震診断と、必要なら耐震改修が勧められています(出典:国土交通省)。自治体によっては診断や改修の補助があるため、市区町村に確認します。
- 水回り:浴室・トイレ・台所・給湯器・配管。長く使われていない家は特に傷みが見えにくい部分です。
- 断熱:古い家は冬に寒く、暖房費がかさみます。部屋ごとの温度差は体への負担にもなります。
- バリアフリー:玄関や浴室の段差解消、手すり、引き戸への交換など。
買った後の固定資産税
固定資産税は毎年1月1日の所有者にかかり、標準税率は1.4%です。住宅が建っている土地のうち200㎡以下の部分は、税金のもとになる価格が6分の1になります(出典:総務省)。地域によっては、さらに都市計画税(上限0.3%)がかかります(出典:国土交通省)。
木造の建物の評価は築年数とともに下がりますが、新築時の2割ほどで下げ止まります(出典:総務省 自治税務局資産評価室)。土地の評価は築年数では下がりません。「築20年以上の家なら税金はほとんどかからない」とは限らないので、購入前に市区町村で評価額を確認しましょう。
1,000万円の配分の計算例
例1:物件価格600万円の中古戸建てを買う場合
| 項目 | 金額 | 根拠 |
|---|---|---|
| 物件価格 | 600万円 | 仮の数字 |
| 仲介手数料 | 最大33万円 | 800万円以下の特例の上限(税込) |
| 印紙税 | 0.5万円 | 契約金額500万円超1,000万円以下の軽減後の額 |
| 残り | 366.5万円 | 1,000万円から上の3つを引いた額 |
残りの366.5万円から、登録免許税・不動産取得税・司法書士への報酬・火災保険を払い、その残りがリフォーム費と予備費になります。耐震・水回り・断熱を全部直す必要がある家だと、足りなくなる可能性があります。
例2:毎年の固定資産税の計算の仕方
土地の評価額が300万円(住宅用地で200㎡以下)、建物の評価額が100万円の場合(どちらも仮の数字):
- 土地:300万円 × 6分の1 = 50万円 → 50万円 × 1.4% = 7,000円
- 建物:100万円 × 1.4% = 14,000円
- 合計:年21,000円(都市計画税がかかる地域では、これに加算)
実際の税額は、自治体の評価額や、税額を段階的に調整する仕組みなどで変わります。正確な額は、売主から固定資産税の納税通知書を見せてもらうか、市区町村で確認してください。
自分の数字で総額を計算する
物件価格と、見積もりで分かったリフォーム費などを入れると、仲介手数料と印紙税を自動で足して、総額と予算との差を計算します。入力した数字はこの画面の中だけで計算し、どこにも送りません。
総額シミュレーター
- 仲介手数料(上限の目安)
- 33万円
- 800万円以下の物件は、特例の上限(税込33万円)と通常の計算(税込)の高い方を表示しています。
- 印紙税
- 0.5万円(5,000円)
- 国税庁の軽減後の税額(2027年3月31日までに作る契約書)
- 総額
- 653.5万円
予算内:予算まで残り 346.5万円
リフォームに使えるのは残り 346.5万円まで
この計算について
- これは概算です。登録免許税と不動産取得税は、物件価格ではなく固定資産税評価額をもとに決まるため、この計算には入れていません。上の「諸費用の内訳」の表で確認してください。
- 実際の金額は、不動産会社と司法書士の見積もりで確認してください。
1,000万円で買うときの考え方のまとめ
- 1,000万円は物件価格ではなく、総額の上限として考える
- 諸費用とリフォーム費の枠を先に取り、残りを物件価格の上限にする
- 800万円以下の物件は、仲介手数料の上限が税込33万円になる特例がある
- 買った後の固定資産税・火災保険・修繕費まで、年金で払えるかを確かめる
買う以外の選択肢も含めて比べたい方は、終の棲家の種類を比較をご覧ください。
出典と確認日
数字や制度は、次の公的な情報源で確認しました。制度は改正されることがあるため、利用前に最新の情報を確かめてください。
- 国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額(告示)」
確認した内容:売買の仲介手数料の上限(200万円以下の部分5%、200万円超400万円以下の部分4%、400万円超の部分3%、いずれも税抜価格に対して。別途消費税)
確認日: - 国土交通省「<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ(空き家等に係る仲介手数料の特例)」
確認した内容:2024年7月1日以降、800万円以下の宅地建物は仲介手数料の上限が「30万円×1.1倍」(税込33万円)まで認められる特例
確認日: - 国税庁「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置(令和8年4月1日現在法令等)」
確認した内容:2027年3月31日までに作成される売買契約書の印紙税(軽減後):500万円超1,000万円以下は5千円、1,000万円超5,000万円以下は1万円
確認日: - 国税庁「No.7191 登録免許税の税額表(令和8年4月1日現在法令等)」
確認した内容:土地の売買による所有権移転登記 本則2%・軽減1.5%(2029年3月31日まで)、建物の売買による移転登記 本則2%、個人が住む住宅用家屋の移転登記 0.3%(2027年3月31日までの取得、床面積50㎡以上などの要件あり)
確認日: - 総務省「地方税制度|不動産取得税」
確認した内容:標準税率4%、住宅と土地は3%(2027年3月31日まで)、宅地評価土地は課税標準を2分の1、中古住宅は新築時期に応じて最高1,200万円を控除
確認日: - 国土交通省「住宅取得に係る不動産取得税の軽減措置」
確認した内容:中古住宅の取得では、新築時の控除額と同額を課税標準から控除できること
確認日: - 総務省「地方税制度|固定資産税の概要」
確認した内容:1月1日の所有者に課税、標準税率1.4%、免税点(土地30万円・家屋20万円)、小規模住宅用地(200㎡以下)は6分の1、3年ごとの評価替え、宅地は地価公示価格等の7割を目途に評価
確認日: - 国土交通省「土地の保有に係る税制(固定資産税・都市計画税)」
確認した内容:都市計画税の制限税率0.3%、小規模住宅用地は3分の1
確認日: - 総務省 自治税務局資産評価室「固定資産評価のしくみについて(家屋評価)」
確認した内容:木造家屋の評価額は築年数(経年減点補正率)で下がるが、最終残価率は0.20(新築時相当の2割)で下げ止まること。家屋の評価は再建築価格を基準にすること
確認日: - 国土交通省「住まいの耐震化:地震の被害と耐震改修の必要性」
確認した内容:昭和56年(1981年)6月以降に建てられたかをまず確認し、それ以前の木造住宅は耐震診断・耐震改修を勧めていること
確認日: